そもそも「バリアフリー」とは?
バリアフリーのバリア(barrier)とは、「障壁」を意味する英単語です。
バリアフリーとは、社会の中にあるさまざまなバリアを取り除く(フリーにする)ことをいいます。
バリアフリーは、もともとは道路や建物の入口にある段差などを取り除くという意味で使われてきた建築用語です。
現在は、すべての人が社会に参加できるよう、すべての分野のあらゆるバリアをなくすという意味で用いられています。
社会の中には、年齢や性別、国籍、価値観や能力もさまざまな人が暮らしています。
多様な人がいるにもかかわらず、社会の仕組みは多数を占める人に合わせてつくられていることが多いです。
たとえば、内閣府が公表している情報によると、日本で身体障がい、知的障がい、精神障がいのいずれかを有している人の割合は、総人口の7.6%です。
多数を占める「障がいのない人」が気づかないところで、障がいのある人は多くの不便さや困難を感じながら暮らしています。
バリアフリーとは、多様な人がいることを考えて、誰もが参加しやすい社会に変えていくことなのです。
バリアフリーリフォームの目的と重要性
なぜバリアフリーリフォームを行う必要があるのでしょうか。初めに、バリアフリーリフォームに関する基礎知識として、目的や重要性をお伝えします。
バリアフリーリフォームの目的
バリアフリーリフォームの目的は、家に住む人が安全かつ快適に暮らせる住環境を確保することです。
現在は高齢者やケガ・病気の人がいない場合も、家族の将来に備えてリフォームに取り組むケースも珍しくありません。
長い目で見て安心できる住まいを作ることが大切です。
バリアフリーリフォームが重要な理由
近年バリアフリーリフォームが注目されている背景として、住まいにおける高齢者の事故の多さが挙げられます。
「高齢社会白書」の公表データによると、65歳以上の高齢者のうち77.1%が住宅内で事故に遭っており、
なかでも居室や階段での事故が多い傾向が見られます。こうした家屋での事故を未然に防ぐために、バリアフリーリフォームが重要視されているのです。
部分的なリフォームも可能
バリアフリーリフォームといっても、費用は数万円から1,000万円を超えるものまで幅広く、工事内容も多岐にわたります。
住宅全体のバリアフリー化はそのぶん費用が多くかかりますが、必要な部分だけリフォームを行い、費用を抑える方法もあります。
手すりの設置のみの場合、形状や設置場所によっては数万円の費用でリフォームでき、工期もわずか1日となることも珍しくありません。
バリアフリーリフォームを検討する際は、玄関や階段、トイレ、お風呂など使用頻度の高い場所や、
生活で不安を感じる場所を中心に、予算や必要性に応じてリフォーム箇所を決めていきましょう。
バリアフリーリフォームの主な工事内容
続いて、バリアフリー化の具体的なリフォーム内容を解説します。
居住にあたりどんな配慮が必要か、どういった危険が想定されるかを考えて、住まいの状態を改めて確認してみましょう。
手すりの設置
住まいに手すりを設置して、移動しやすさを確保するとともに、転倒事故を防止します。
設置する場所は、トイレの出入口や便座の付近、廊下の段差前や部屋の出入口などです。
使う人の背丈や動作を考慮して、しっかりと握りやすい形状の手すりを採用しましょう。
1本あたり数万円からリフォームできます。
段差の解消
住まいのさまざまな箇所にある段差をスロープの設置によって解消し、足腰への負担を軽減します。
段差がなくなることでつまずきのリスクが減り、さらには車椅子でも移動しやすくなります。
具体的には、玄関の段差、廊下と部屋の段差、浴室の段差などが対象です。
滑りにくい床材への変更
床材を滑りにくい材質に変更することで、転倒によるケガを予防します。
特に注意したいのは、浴室や洗面所をはじめとした水回りや、雨などで濡れる可能性がある玄関です。
滑り止め効果があるノンスリップ加工が施された床材を選ぶと良いでしょう。
ドアの変更
開き戸が出入りの動作の支障となりやすい場合は、引き戸に交換するリフォーム工事が有効です。
引き戸は車椅子でも開閉しやすく、出入口付近のスペースを広めに確保しやすくなります。
ただし、引き戸を設置するには扉を引き込む場所が必須で、間取りによっては設置できないことがあるのが注意点です。
水回りの設備の取り替え
水回り設備をバリアフリー対応のものに交換して、安全かつ快適に利用できる状態にします。
例えば、またぎやすい高さの浴槽に交換したり、洋式トイレに交換したりすることで、足腰への負担を軽減できるでしょう。
設備が変わると日々の入浴や排せつが楽になります。
温度差の解消
暖房の設置などの対策で住まいの温度差を解消し、ヒートショックのリスクを軽減します。
ヒートショックとは、急激な温度差によって生じる血圧の乱高下を指します。
特に65歳以上の高齢者は影響を受けやすいため注意が必要です。
例えば、浴室や脱衣所に暖房を設置することで、入浴時の温度差による事故を避けやすくなります。
間取りの変更
間取りの変更によって利便性を向上させたり、ヒートショックのリスクを軽減したりします。
寝室・居室とトイレの距離を近づけたり、生活に必要な設備を1階部分にまとめたりすると、より暮らしやすくなるでしょう。
また、冬場は温度の低い廊下を経由することでヒートショックが懸念されるため、間取り変更で改善するようおすすめします。
バリアフリーリフォームに利用できる補助金・助成金・減税制度
バリアフリーリフォームでは、以下の支援制度を利用できる可能性があります。
ご自身が対象者に該当する場合は、ぜひ制度を活用するようおすすめします。
介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
要支援・要介護の認定を受けた方の住宅改修では、介護保険から工事費用の一部補助を受けられます。
上限20万円までの対象工事を、所得に応じて1~3割の自己負担で行えます。事前にケアマネージャーとの相談が必須です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅」へのリフォームで、1戸あたり上限100~250万円の補助を受けられます。
長期優良住宅とは、耐震や省エネの性能が一定の基準を満たした住宅のことです。
バリアフリー改修に対応可能であることも認定基準の一つになっています。
地方自治体の補助金・助成金制度
お住まいの市区町村が実施する補助金・助成金制度を利用する方法です。
例えば東京都では、千代田区の「高齢者福祉住環境整備」、
中央区の「高齢者住宅設備改善給付事業」、新宿区の「高齢者自立支援住宅改修及び日常生活用具給付事業」が挙げられます。
所得税の控除
住宅のバリアフリーリフォームを行って一定の要件を満たす場合は、所得税の控除を受けられる可能性があります。
現行の制度を確認してみましょう。参考までに令和5年12月31日までは、「投資型」または「ローン型」の特例措置が設けられていました。(※2024年1月現在)
固定資産税の控除
新築後10年以上の住まいに一定の要件を満たすバリアフリーリフォームを行った場合、
工事が完了した翌年度分の固定資産税のうち3分の1が減額となります。適用期限は令和6年3月31日までです。
市区町村の申請方法に従って申請手続きを行いましょう。(※2024年1月現在)
バリアフリーリフォームの前に注意するポイント
最低限気を付けておきたいポイントを紹介します。
1・事前に使える補助金や制度を調べる
バリアフリーを検討し始めたらすぐに、使える補助金や支援制度について調べましょう。
先ほども述べたように、介護保険を使う場合はケアマネージャーへの相談や、工事前の申請が必要です。
自治体の補助金も、契約や着工前の申請が条件となるものが多く、手続きを忘れると補助金が受け取れなくなってしまいます。
自治体の支援制度については、リフォーム業者が指定されているケースもあるため、
業者を決める前に自治体のホームページや窓口で確認することをおすすめします。
2・バリアフリーの知識を持つ業者に依頼する
業者を選ぶ際には、バリアフリーの施工実績や、バリアフリーの知識を持つ方が在籍しているか確認しましょう。
バリアフリーリフォームは通常のリフォーム以上に、安全に暮らせるか、住む方や介助者の負担を減らせるかという視点が欠かせません。
実績のある業者であれば的確なアドバイスがもらえるうえ、補助金について教えてもらえることもあります。
3・いざというときに焦らないよう早めに計画する
必要に迫られてバリアフリーリフォームをせざるを得ないケースもありますが、焦って計画すると失敗を招くことがあります。
少しでも生活に不自由を感じるようであれば、ケアマネージャーや主治医、建築士など専門知識を持つ方に相談し、早めのリフォームを検討しましょう。
バリアフリー化を進めて安全な自宅にすることは、暮らす方の自立性や体力の維持にもつながります。
費用面が心配でリフォームの計画が進まないという方は、補助金以外にもリフォームローンの活用も検討しましょう。
りそなでは、耐震工事・住宅設備機器(浴槽トイレほか)など幅広い用途に使えるリフォームローンがあります。
今後バリアフリーリフォームを考えている方は、選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。
ビセンリフォームでは奈良県の地域に限定させて頂いております。
リフォーム工事は、建設業ですがサービス業として捉えています。
限定した地域、目の届く範囲でサービスを提供し、お客様とも生涯お付き合いできる関係を築いていきたいと考えております。
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