リフォームでトイレを増設する費用の相場は?
トイレの増設リフォームは、工事の内容や設置する場所によって費用の相場が異なります。
工事の種類ごとの相場を知るためにも、まずは、トイレ増設リフォームの基本的な費用を把握しておきましょう。
トイレ増設で基本的に発生する費用
個室のトイレを増設リフォームする場合は、トイレの本体価格と設置費用だけでなく、壁の解体・設置、クロス・床材張替え、照明器具の設置、電気や排水管の配線工事、それに伴う廃材処分など、様々な費用が発生します。
・トイレの本体価格:約10万円
・トイレの設置費用:約10万円
・壁の解体・設置費用:約20万円
・壁クロス張替え:約5万円
・床材張替え:約3万円
・照明器具の取り付け費用:約5万円
・電気配線工事費用:約3万円
・給排水管工事費用:約5万円
・廃材処分費用:約8万円
合計:約70万円
トイレの増設にかかる費用のうち、トイレの本体価格や設置費用はリフォーム会社によって相場が異なります。
また、電気配線工事や給排水管工事を下請け業者に依頼する会社であれば、相場以上の料金になることがあります。
トイレの増設リフォームを行う場合は、自社で一貫して工事を行い、かつトイレの施行経験が豊富なリフォーム会社を探すと良いでしょう。
ちなみに、トイレの増設リフォームの工期は、壁の解体や新設など大掛かりな作業を伴うため、約5日は必要です。
トイレ増設に伴う付随工事の費用
トイレ増設には、以下のような付随工事の金額がプラスされることも、前もって予想しておきましょう。
手洗い場の増設
増設したトイレの近くに手洗い場がない、または、便器の後部に手洗いがないタンクレストイレを設置する場合は、トイレの室内や出口周辺に簡単な手洗い場を設ける必要があります。
・手洗い場の増設費用:約10万円
床下の補修工事
床下に、シロアリ被害や湿気による腐食が発生している場合は、補修工事が発生します。
特に、トイレなどの水回り機器を設置した床下は劣化しやすいため、リフォームの際に点検・補修をしっかり行っておきましょう。
・床下補修工事費用:約5~10万円
給排水管の延長工事
トイレを増設する位置によっては、トイレまで給排水管を大きく延ばす工事が発生します。排水管を延ばすと、床下などの防水処理や、水流を増すためのポンプの追加などが発生し、その分料金も高額になります。
・給排水管の延長工事費用:
10メートルまで:約10万円
20メートルまで:約20万円
2階にトイレを増設する場合は、給排水管を横に延長する工事の有無で費用が大きく異なります。
既存の1階トイレの真上にトイレを増設した場合は、給排水管を上に横に延ばすだけで良く、横に延長する必要がないため、工事費も大きく増えることはありません。
しかし、間取りに制約がある場合など、やむを得ず1階のトイレから離れた位置に設けなくてはならないときは、給排水管の延長工事、さらに階下への水漏れを防ぐための防水工事が発生し、費用はやや高額になります。
2階にトイレを増設するリフォームの費用相場
・基本的なトイレ増設費用:約70万円
・給排水管延長工事費用:約10~20万円
・防水工事費用:約5万円
合計:約90万円
2階のトイレ増設費用を抑える方法
押し入れやクローゼットなど既にあるスペースを利用すると、壁の撤去や増設が不要になり、工事費用を抑えることができます。
このとき、できるだけ給排水管の近くにあるスペースを使うことで、給排水管の延長工事の料金も省くことができますので、合計金額は約60万円程度に収まります。
バリアフリーリフォームに伴うトイレの増設
生活に欠かせないトイレは、バリアフリーリフォームの需要も高い箇所です。新たに増設するトイレをバリアフリー化する場合は、バリアフリーパーツに応じた費用が必要です。
バリアフリーパーツには、足腰の弱い方でもトイレの利用が楽になる、介護用のリフトや手すりなどがあります。
あるいは、和式から洋式トイレへの変更も、代表的なトイレのバリアフリーリフォームです。
和式トイレは、介護が不要で足腰がしっかりしている方でも、しゃがんだ姿勢から立ち上がるときに血圧が急上昇する恐れがあります。
そのほか、便器までの段差の昇り降りが足腰への負担となり、ケガや転倒の恐れがありますので、増設の際は洋式を選んでおくことをおすすめします。
また、これらに追加して、軽い力で開け閉めできるように、開き戸を引き戸にしたり、開口部の段差を解消したりといった、トイレの出入り口付近のバリアフリーリフォームもおすすめです。
バリアフリーリフォームの例と費用
・和式トイレを撤去して洋式トイレを増設:約80万円
・手すりの取り付け:約5~15万円
・介護用トイレリフトの設置:約20万円
・開き戸を引き戸に変更:約15万円
・入口の段差解消:約10万円
車椅子の移動に配慮して、洗面所などの広い部屋に、新たにトイレのみを増設するバリアフリーリフォームもあります。
この場合は、室内に便器を設置する簡単な工事のみで、壁の解体・設置やクロス張替えなどの工事を伴いません。
しかし、床や壁の穴あけ工事が必要となるほか、他のトイレ増設と同じく、設置位置によっては給排水管の延長工事費用が必要です。
・トイレの本体価格:約10万円
・トイレの設置費用:約10万円
・壁クロス張替え:約5万円
・床または壁の穴あけ工事費用:約5万円
・床材張替え:約3万円
・照明器具の取り付け費用:約5万円
・電気配線工事費用:約3万円
・給排水管工事費用:約5万円
・廃材処分費用:約3万円
合計:約50万円
追加の照明器具は、既存の室内照明の明かりがトイレまで届けば必要はありませんが、暗くて使いにくいトイレにならないよう、リフォーム前に照明が必要かどうか確認しておくことをおすすめします。
マンションのトイレ増設リフォーム
条件をすべて満たせば、マンションでもトイレを増設することは可能です。ただし、工事前に管理組合にリフォームの内容を相談し、様々な制約をクリアしていることを確認しなくてはならず、簡単ではありません。
マンションの室内にトイレを増設するためには、何よりもまず給排水管の制約をクリアする必要があります。
マンションの中を通る給排水管のうち、各階を貫いて縦に延びている「立て管」は共用部となり、横に延びた「横枝管(よこえだかん)」は専有部として区別されています。
このうち、共用部である「立て管」は、入居者が手を加えることはできませんので、元の位置から移動させることはできません。
そのため、トイレを増築する際は、立て管まで横枝管を延ばさなくてはなりませんが、水流を保つためには横枝管に一定の勾配を取る必要があります。
しかし、このときに床下に十分な空間がなければ、横枝管の勾配を確保することができず、詰まりや漏水の原因となるため、増築そのものが不可能となってしまいます。
マンションのトイレ増築費用は、一戸建てにトイレを増築したときの費用の、約70パーセントが相場です。
・マンションのトイレ増築費用:約50万円
ただし、タンクレストイレに交換して手洗い場が必要となった場合や、管理規約に指定されている床材を使用する場合などは、上記の金額に対し、約20~30万円の追加費用が発生する恐れがあります。