2階にお風呂を増設できる?工事内容やメリット、注意点について
一般的な戸建住宅の浴室は、一家に一ヵ所、1階にあるのがほとんどでしょう。
しかし最近では、家族の人数や生活リズムに合わせ「2階にも浴室があると便利」と増設を考える人も。
ただ、「2階に浴室が作れるの?」という疑問に思う人も多いかと思います。
今回は、浴室を2階に増やすメリットや注意しておきたいポイントなど総合的にお話していきます。
2階にお風呂を増設したくなる理由とは?
2階にお風呂を増やしたいという人のほとんどが、二世帯住宅をきっかけにしています。
親世帯にとっては「子どもや孫たちが身近にいる安心感のある暮らし」が魅力の二世帯住宅。
子供世帯にとっても、経済的な面で大きなメリットを感じるでしょう。
実家を改修してひとつの建物に一緒に住み良好な関係性を保っているケースも多いです。
ただ、ひとくちに二世帯住宅とは言ってもそのスタイルはさまざま。
玄関や水回りの設備をすべて共用にする
玄関と浴室だけを共用にする
というように、部分的な設備を一緒に使うこともあります。
または、建物はひとつだけれど玄関を分けて完全分離にするというケースもあるでしょう。
このなかで、「玄関や水回りすべてを共用する」や「玄関と浴室を共用する」というケースでは、二世帯の大人数で浴室を使うので、後から不満を持つケースも多いようです。
二世帯住宅で2階にお風呂を増設するメリット
お風呂を増設したときのメリットについて考えてみましょう。
自由な時間に入浴できる
二世帯で家族の人数が増えると自由な時間に入りたいのに、順番待ちで遅い時間になることもあるでしょう。
今入りたいと思っているのに、誰かが入っていて気軽に入浴できないのはかなり不便ですよね。
2階に住む世帯にも専用の浴室があると、時間的にも余裕ができて便利です。
遅い時間の入浴も気を使わなくていい
年齢がバラバラな家族が集まるので、二つの世帯の生活リズムはかなり違うでしょう。
親世代は早寝早起きで就寝時間が早めとなることが多いもの。
一方、子供世帯は現役で仕事をしているなど帰宅時間が遅くなりがちです。
浴室が1階にしかない場合だと、すでに寝ている親を気遣い「起こさないだろうか…?」
と、静かに入浴しなければならず「気を使う」ということもあるでしょう。
生活リズムが異なる世帯がお風呂を共用するのは難しいのかもしれませんね。
お風呂は「リラックスして過ごしたい場所」
世帯ごとに浴室があればお互いに気を使わずに自由に入りやすくなります。
2階に浴室をつくるのって大丈夫?工事はどんな内容になるの?
2階にお風呂を増設することは可能ですが、かなり大がかりな工事になります。
給排水の配管工事やガス管、電気工事などさまざま必要
なにもなかった部分を浴室にするので、給水および排水をするための配管工事が必要。
水漏れを防ぐための防水処理加工もしなければいけません。
また、ガス管の設置や電気の配線工事など、工事内容は多くかなり大がかりなものになるでしょう。
建物への負担をなくす補強工事が重要
1坪未満の浴室なら、「浴槽」が設置される面積は1畳未満とかなり小さなスペース。
そこに重くのしかかるのが「浴槽+お湯の重量+人間の体重」です。
浴槽の重さは素材によって重さは変わりますが、
30kg前後と軽めの浴槽もあれば100kgを超える重いものもあります。
そして、サイズにもよりますが300リットルのお湯が入る浴槽なら約300kgと重量はかなり重めです。
さらに人間の体重が加算されます。
浴槽以外の部材もあるので、数百kgという総重量の重みに耐えるための床面の補強をしなければなりません。
階数が高くても浴室を設置できるマンションを例に考えると分かりやすいですが、鉄骨や鉄筋コンクリートなど丈夫な構造の住まいでは極端に問題点が生じることはないでしょう。
一般的な住宅に多い木造住宅は重み対策として補強工事が必要です。
そのため、築年数の古い住宅や、間取り・建物の劣化状況によって異なるため簡単には行きません。
2階に浴室を作る前に知っておきたいデメリット
2階に浴室を作れば二世帯住宅も快適になりそうですが、デメリットも必ずチェックしておきましょう。
木造は水漏れの危険が大きい
ユニットバスを増設するケースと在来工法の浴室を増設するケースを比べると、在来工法の方が水漏れは起こりやすいかもしれません。
しかし、いずれにしても「水漏れ」についてはある程度リスクとして知っておいてください。
仮に水漏れをすると、下階への影響があるだけでなく見えない内部で発生することもあります。
木造住宅の水漏れで怖いのが「木材の腐食」です。
柱や梁に水分を含んでしまうと木材が弱くなり、建物の強度にまで影響が出る可能性も大きくなります。
それを防ぐために、施工の際に内部を確認するための床下点検口を設置し、腐った木材を放置しないように定期的に漏水点検をすることも大事です。
うっかり定期的な点検を怠ってしまい、水漏れに気づかないまま腐食が進行すると、基礎部分にまで水分が浸透しシロアリが発生するかもしれません。
「水漏れのリスク」を意識し、被害がでないように点検を心がけましょう。
重い浴室を設置する場所に注意する
前述しましたが、お湯が入った状態になると約1トン近くもの重さになります。
建物への負担を軽くするために、木造住宅では重さに耐えられる補強をしなければなりません。
建物の負担にならないように柱に近い場所に設置するなど、設置場所にも配慮が必要です。
下の階に音が響くかもしれない
鉄筋コンクリートなど強固な構造の建物の場合、2階の浴室からの音がうるさすぎて下階の人が不快に思うことはないでしょう。
しかし、木造住宅の場合は上の階の入浴の音が響いて気になるケースも…。
「1階の親世帯を起こさないように」と考えて2階にお風呂を増設する目的が果たせないかもしれません。
木造住宅の場合、下階への影響を考え、寝室の上は避けた方が良いでしょう。
水圧が弱まる可能性もある
水を上に押し上げる力が必要なので、水圧が弱くシャワーが使いづらいなどの問題が発生するようです。
特に、お湯を貯めておくオール電化の「貯湯型」に見られます。
水圧が弱いと、シャワーの勢いがなく、体が温まらないという不満につながることも。
また、地域的にも水圧の弱いところもあるので、
2階に増設した場合の水圧については事前に確認しておくといいかもしれません。
1階のスペースが狭くなるかも
2階にお風呂を作ることで、2階浴室の真下のスペースに給水や排水の処理を円滑にするパイプスペースと呼ばれる空間をつくる必要があります。
1階の天井部分を利用することになるため、1階側から見ると圧迫感があるかもしれません。
天井が低くなっても影響のない部屋の上に浴室を増設する
または構造上問題ないなどを考えつつリフォームする
といったことが重要です。
費用が結構かかる
浴槽を入れ替えるというような単純なリフォームとは違い、
配管や電気配線を新設したり、構造の補強が必要だったりと工事内容が増えます。
工期も長めになり、費用全体でみると数百万円かかることが予想されます。
また、空スペースを利用するのではなく、「増築する+そこにお風呂を作る」などのケースなら増築工事も100万円前後はかかってしまいます。
現在の住宅がどんな状況か
どんなタイプの浴室にするか
素材は何にするか
など、事情により費用は異なりますが、500万円を超えることも珍しくありません。
メリットとデメリットをじっくり検討しなければならないでしょう。